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音楽療法士(専修、1種、2種)教育課程のガイドライン(技能水準目標) 〔内規 第7号〕

 


[内規 第7号]
平成19年3月1日
音楽療法士(専修、1種、2種)教育課程の
ガイドライン(技能水準目標)
〔規程大第1号 第4条関係〕〔規程短第1号 第4条関係〕
 
全国音楽療法士養成協議会
音楽療法・音楽教育充実向上委員会

 
 
 本協議会では、付則「音楽療法士(専修、1種、2種)として必要な専門的能力(Professional Competencies)の指針」で、 参考までに、音楽療法を行う場合に必要とされる知識・技能を本協議会が目指す音楽療法士像(音楽療法士の専門性) として掲げたが、養成段階において、音楽療法の専門職に就く前に、習得する必要があると思われる技能水準を 「教育課程のガイドライン」として、概要、下記の通り示すこととした。
    ※ ガイドラインは、「音楽療法士(専修、1種、2種)養成の教育課程」の分野区分毎に示している。
    ※ 下記の主要科目(位置付け)は、あくまでも参考のために「技能水準目標」として掲げたのであって、実際の科目設定(シラバス)は、各養成校が独自に設定できる。
 

 
I 音楽に関する分野【専修(38単位以上)、1種(30単位以上)、2種(18単位以上)】

 
目標[内容] -専修・1種・2種共通-
 音楽の本質や意義を修得すると共に音楽療法士になるための音楽の基礎及び技能の修得を目指す。
 
理論に関する科目群【1種(8単位以上)、2種(4単位以上)】
科目例示(参考)
音楽理論(和声、楽式を含む)     音楽史(諸民族・日本音楽を含む)
作曲法(編曲を含む)         音楽心理学
楽器学                音楽美学
 
理論科目群の目標到達度
・人々と音楽のかかわり(音楽と感情・行動等)や、世界や日本
における音楽の歴史などについて簡潔に発表することができる。
・音楽療法の活動に必要となる基礎的な音楽の諸理論を学ぶ。
・ジャンル別の代表的な音楽作品を知っている。
 
主要科目(位置付け)
<音楽療法士(1種)の場合>
「音楽理論(和声、楽式を含む)」「音楽史(諸民族・日本音楽を含む)」「作曲法(編曲を含む)」のうち、2科目(単位設定は自由)は、 「必修」として位置づけることが望ましい。
<音楽療法士(2種)の場合>
「音楽理論(和声、楽式を含む)」「音楽史(諸民族・日本音楽を含む)」「作曲法(編曲を含む)」のうち、 1科目(単位設定は自由)は、 「必修」として位置づけることが望 ましい。
 
主要科目別の到達度(目標)
【音楽理論(和声、楽式を含む)】
(1)記譜法、音程・音階、和声、楽式などの知識を身につけること。
(2)様々な音楽作品を理論的に分析する能力を養うこと。
(3)音楽療法の活動を行う上で必要となる音楽理論の基礎を身につけ
ること。
【音楽史(諸民族・日本音楽を含む)】
(1)代表的な音楽作品・作曲者名(曲名・歌われた年代)を知っていること。
(2)様々な時代や文化の音楽的要素、社会構造(歴史的、地理的背
景)の特徴を認識できること。
【作曲法(編曲を含む)】
(1)セッションに必要な作曲や編曲ができること。
(2)小グループでの歌唱や合奏のために、目的に合わせたアレンジが
できること。
 
実技に関する科目群【専修(38単位以上)、1種(22単位以上)、
              2種(14単位以上)】
 
科目例示(参考)
指揮法                伴奏法
合唱                  声楽
ソルフェージュ            アンサンブル
器楽(鍵盤)             器楽(管・弦・打楽器)
即興演奏法
 
実技科目群の目標到達度
・専攻する分野(声楽、器楽等)において、音楽性や必要な技術
を身に付けるとともに、それらを音楽療法の現場で活用できる
能力を養う。
・専攻分野に関わらず、ギター又はその他の携帯楽器を演奏で
きるようにする。
主要科目(位置付け)
 
<音楽療法士(専修、1種)の場合>
「指揮法」 「伴奏法」「合唱」「声楽」「ソルフェージュ」「器楽(鍵盤)、(管・弦・打楽器)」 「即興演奏法」のうち、 6科目(単位設定は自由)は、「必修」として位置づけることが望ましい。
 
<音楽療法士(2種)の場合>
「指揮法」「伴奏法」「合唱」「声楽」「ソルフェージュ」「器楽(鍵盤)、(管・弦・打楽器)」 「即興演奏法」のうち、4科目(単位設定は自由)は、「必修」として位置づけることが望ましい。
 
主要科目別の到達度(目標)
【指揮法】
(1)基本パターンを正確な技術で指揮をすることができる。
(2)大・小で編成した合唱・合奏を指揮することができる。
【伴奏法】
(1)歌いながら又はアンサンブルに、コードネームによる伴奏をつける
ことができる。
(2)簡単な曲に和声づけし、いくつかの調に移調することができる。
【ソルフェージュ】
(1)音楽の基礎的能力である読譜力、リズム・拍子感、調性感、演奏
表現力、メロディーの和声づけ、聴音力などを身につける。
(2)簡単な楽曲を移調できるようにする。
【即興演奏法】
(1)様々な雰囲気や様式に合わせて、声や楽器を使った即興的な演
奏をできるようにする。
【合唱】【声楽】
(1)伝統的な楽曲や様々な合唱曲を、正しい音程とリズムで歌うこと
ができるようにする。
(2)適度の声量で歌うことができるようにする。
【器楽(鍵盤)】【器楽(管・弦・打楽器)】
<各楽器共通>
(1)伝統的な楽曲・ポピュラー等のスタンダード曲を演奏することがで
きるようにする。
(2)専攻以外の楽器も扱えるようにする。
 

 
II 音楽療法に関する分野【専修(20単位以上)、1種(16単位以上)、2種(8単位以上)】

 
目標(内容)
1. 音楽療法の目的・意図・機能についての基本的な知識を身につけさ
せる。また、各論・演習では、音楽療法の実践力を高める。
2. 音楽療法総合演習は、必修として位置づけ、広い視点から音楽療
法の理解を深めさせることを目的に、併せて対象者に応じてどのような
療法を行えばよいかを演習形式で考えさせる。
 
科目例示(参考)
音楽療法概論      音楽療法各論・演習(基礎・臨床・技法)
音楽療法総合演習
 
音楽療法科目群の目標到達度
・音楽と音楽療法との関係を学ぶ。また、音楽(音)を通してコミ
ュニケーションをはかれるようにする。
・1.音楽療法の基礎知識、2.音楽療法のアセスメント、3.音楽療
法の実施計画、4.音楽療法の実践、5.音楽療法の検証と評価、
6.音楽療法の記録方法などについて学ぶ。
・療法楽器・創作楽器、民族楽器などを使って演奏できるように
する。
 
主要科目(位置付け)
<音楽療法士(専修、1種、2種) -共通->
 「音楽療法概論」「音楽療法各論・演習(基礎・臨床・技法) 」「音楽療法総合演習」は、必修(単位設定は自由)として位置づけられたい。
 
主要科目別の到達度(目標)
【音楽療法概論】
(1)音楽療法の定義、目的、方法、技法、資料、使用楽器等につい
て、基本的な知識を持つようにする。
(2)音楽的な行動、音楽体験に関する心理的・生理的な側面につい
て基本的な知識が持つようにする。
(3)音楽療法としての概念(哲学的、心理的、生理的、社会的)の基
礎知識を持つようにする。
【音楽療法各論(基礎)】
(1)音楽療法のアセスメントの原理・方法についての基本的な知識を
持つことができるようにする。
(2)様々な対象者(幼児・児童・成人・高齢者等)への音楽療法の目
的、意図、機能について基本的な知識を持つことができるようにする。
(3)音楽療法効果を検証・評価する原理・方法について、基本的な知
識を持つことができるようにする。
(4)倫理について学ぶ。
【音楽療法各論(臨床)】
(1)個人又は集団としての対象者(幼児・児童、成人、高齢者等)別
に、音楽療法のアセスメント、音楽療法の実施計画、音楽療法の実
践、記録の取り方、療法実施後の検証・評価の仕方などを学ぶ。
【音楽療法各論(技法)】
(1)対象者別・障害状況別に、様々な種類の音楽を使って音楽療法
の実践を行う。
(2)音楽療法士として必要な治療技法・問題解決能力の向上を図る。
(3)枠組みある動きと即興的な動きの体験を指導できるようにする。
【音楽療法総合演習】
(1)さまざまな音楽療法のシュミレーションを通して、音楽療法の進め
方や問題点などの意見を出し合い、グループ形式で課題解決に向け
て討議し、更に有効な療法方針について討論する。
(2)音楽療法の対象者別による模擬演習やロールプレーなどを通し
て、音楽療法の目的、意図、機能などについて学習・検証する。
 

 
III 音楽療法の関連分野【専修(24単位以上)、1種(20単位以上)、2種(12単位以上)】

 
目標[内容] -1種・2種共通-
 教育、福祉、医学・看護、心理の4科目群に亘って、相互に関連する科目を、1種は「4単位以上」、2種は「2単位以上」を講義又は演習形式にて履修する。
 
教育に関する科目群【1種(4単位以上)、2種(2単位以上)】
科目例示(参考)
教育学概論           教育原理
教育制度            教育相談(カウンセリングを含む)
音楽科教育法          障害児教育
 
教育科目群の目標到達度
・教育の本質を理解することによって、教育者(音楽療法士)と
しての心構えを身につける。
・学校種(幼稚園、特殊教育諸学校)毎の教育の特色や教育機
器、教材を知っておくこと。また、個人や集団に応じた音楽(療
法)の導入の仕方についても学ぶ。
主要科目(位置付け)
 
<音楽療法士(1種、2種) -共通->
 「教育学概論」「教育原理」「教育相談(カウンセリングを含む)」「音楽科教育法」「障害児教育」のうち、 1科目(単位設定は自由)を、「必修」として位置づけることが望ましい。
 
主要科目別の到達度(目標)
【教育学概論】
(1)教育制度、教育思想 ・教育哲学などを学び、教育の本質を理解する。
【教育原理】
(1)教育の本質と意義について学習する。
【教育相談(カウンセリングを含む)】
(1)教育相談(カウンセリング)の概念と意義について学ぶ。
(2)子どもの悩み相談について、適切なアドバイスをすることができる
ようにする。
【音楽科教育法】
(1)音楽の教科指導法について学ぶ。
(2)特殊教育諸学校における授業方法についても学ぶ。
【障害児教育】
(1) 障害児の障害特性及び心理特性等を学び、障害の意味と発達に
ついて理解を深める。それを基礎に、それぞれの障害特性に応じた教
育的・発達的支援の方法や専門支援機 関の連携、家族支援のあり
方について考える。
 
福祉に関する科目群【専修(4単位以上)、1種(4単位以上)、
                          2種(2単位以上)】
 
科目例示(参考)
社会福祉概論(児童・老人福祉を含む)      保育原理
社会福祉制度・老人福祉制度         障害者福祉論
保育内容                  介護概論・介護実技
ホームヘルプサービス概論
 
福祉科目群の目標到達度
・音楽療法の対象者について理解する。
・福祉・介護全般の知識を学ばせるとともに、介護全般の技能・
技術を身に付ける。
 
主要科目(位置付け)
<音楽療法士(専修、1種、2種) -共通->
 「社会福祉概論(児童・老人福祉を含む)」「障害者福祉論」「介護概論・介護実技」「保育原理」 「保育内容」のうち、1科目(単位設定は自由)を、「必修 」として位置づけることが望ましい。
 
科目別の到達度(目標)
【社会福祉概論(児童・老人福祉を含む)】
(1)今後の我が国の少子高齢化社会を考えるとともに、高齢者に対
する福祉政策や少子化対策などを学ぶ。
(2)障害を持つ人々の問題。また、老年期に起こりうる様々な問題等
についても学ぶ。
【障害者福祉論】
(1)障害を持つ人々に対する福祉政策などを知り、音楽療法の対象
者の置かれている立場や現状などについて理解する。
【介護概論・介護実技】
(1)介護の目的・機能など介護全般の知識について理解するととも
に、老人や障害者の身体介護、家事援助の方法など学ぶ。
【保育原理】
(1)我が国の保育制度を知るとともに、家庭と保育現場との連携など
について学ぶ。
【保育内容】
(1)遊びを中心とした子どもの特質を理解する。
(2)子どもの身体表現と音楽の関係について学ぶ。また、音楽が子ど
もに与える影響についても学ぶ。
 
医学・看護に関する科目群【専修(4単位以上)、1種(4単位以上)、
                              2種(2単位以上)】
 
科目例示(参考)
医学概論                    臨床医学
生理学                    リハビリテーション論
看護学(救急処置を含む)            障害学
精神保健(小児・老人保健を含む)
 
医学・看護科目群の目標到達度
・医学・看護全般についての知識を修得する。
・音楽療法の対象者の健康状態を把握する上での基礎的知識
を身につける。
 
主要科目(位置付け)
<音楽療法士(専修、1種、2種) -共通->
 「医学概論」「臨床医学」「障害学」「リハビリテーション論」「看護学(救急措置を含む)」のうち、1科目(単位設定は自由)を、「必修」として位置づけることが望ましい。
 
主要科目別の到達度(目標)
【医学概論】
(1)健康と病気との概念について、保健医療、看護、疾病の予防、健
康増進の方法などの面から基礎知識を修得させる。
【臨床医学】
(1)入院や診察を要する患者の様々な病気・治療法・薬などの基礎
的な知識を学ぶ。
【障害学】
(1)障害の種別について知っておくこと。また、障害者個人の尊厳と
社会連帯の理念などについても学ぶ。
(2)障害別の対応状況<1.医療で対応(機能・形態障害)、2.教育で
対応(能力障害)、3.福祉で対応(社会的不利)>などについても学ぶ。
【リハビリテーション論】
(1)リハビリテーションの基礎知識を学ぶ。
【看護学(救急処置を含む)】
(1)医師の指示のもとで診察や治療の補助を行う看護全般の基礎知
識を学ぶ。
(2)障害者や老人等の特有の病名を知るとともに、その対処法の基
礎的な知識を学ぶ。
 
心理に関する科目群【専修(4単位以上)、1種(4単位以上)、
                          2種(2単位以上)】
 
科目例示(参考)
心理学                  臨床心理学
発達心理学              障害児心理学
 
心理科目群の目標到達度
・心理に関する基礎知識を修得する。
・音楽療法の対象者を深く理解し、より適切に接し、音楽療法を円滑
 に進める上での基礎知識を修得する。
 
主要科目(位置付け)
<音楽療法士(専修、1種、2種) -共通->
 「心理学」「臨床心理学」「発達心理学」「障害児心理学」のうち、1科目(単位設定は自由)を、「必修」として位置づけることが望ましい。
 
主要科目別の到達度(目標)
【心理学】
(1)人間の心理全般について学習する。
【臨床心理学】
(1)障害や病気など様々な問題を抱えた人々の心理的側面を理解する。
【発達心理学】
(1)ライフサイクルという観点から、年齢段階に応じた人間の心の発
達について学習する。
(2)それぞれの年齢に特有な心理状態についての知識を修得する。
【障害児心理学】
(1)障害児の心理について理解する。
 

 
IV 音楽療法実習【専修(9単位以上)、1種(5単位以上)、2種(3単位以上)】

 
目標[内容] -専修、1種・2種共通-
 社会福祉施設・医療施設等において、観察・参加・記録を通して、対象者を正確に理解し、音楽療法士となる自覚を促すと共に、音楽療法の基礎的な実習を行う。
 
科目例示(参考)
音楽療法実習
(施設介護実習、病院実習、社会福祉施設等体験学習を含む)
音楽療法実習の目標到達度
・実際に現場で実習することによって、音楽療法の対象者を深
く理解し、より適切に接し、音楽療法を円滑に進める上での知
識と基礎的なコミュニケーションの能力を修得する。
・本協議会の実習基準に基づき、指導者のもとで実際の音楽
療法実習を行う。
 
主要科目(位置付け)
<音楽療法士(専修、1種、2種) -共通->
 「音楽療法実習」は、学外(現場)実習とし、必修に位置づける。
 音楽療法の実習内容には、施設介護実習、病院実習、社会福祉施設等体験学習などを含めて行うことが望ましい。
 
主要科目別の到達度(目標)
【事前・事後指導】
(1)事前指導としては、音楽療法の目的・意図するものなどの自覚を
促すとともに、実習に行く心構えや注意事項など遵守する事柄を再確
認させる。
   事後指導としては、実習で得た体験を記録にまとめるとともに、
実習体験を今後に活かせるよう指導する。
【音楽療法実習】
 (施設介護実習・病院実習、社会福祉施設等体験学習を含む)】
(1)音楽療法実習では、社会福祉施設又は医療施設等において、対
象者に対する理解を通して、実際に音楽療法を行うことによって、音
楽療法の理論と実践の関係について習熟させる。
(2)音楽療法の実践だけではなく、医療施設や社会福祉施設等にお
ける療養・生活場面での対象者の行動や心理の変化など体験学習
する。また、施設等の関係者の指示に従い、実際の介護援助等を行う。