全国音楽療法士養成協議会
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卒業生の声
1 卒業生の声≪音楽療法士(1種)取得≫

    藤見無央さん(徳島文理大学 平成13年度卒業)
―特別養護老人ホーム「健祥会モルダウ」勤務)―
はじめに
 「音楽の力を信じなさい。」 私が音楽療法を行う際、念頭においている言葉である。
 これは大学での恩師マイケル・ローバッカー先生が“困った時は思い出すように”と教えてくださったものである。
 在学中の私には、それがどういう意味であるのか正直なところ解らなかった。そして、仕事を始めた今、ようやくその意味が解りつつある。

大失敗だった初セッション
 在学中に実習で行った音楽療法。そして仕事での音楽療法。私にとって明らかに異なる点があった。実習では、共に学んだ心強い仲間たちや先生が何かあったらフォローしてくれる。しかし仕事の現場ではそうはいかない。私、独りで約40分のセッションを行わなければいけない。当然、不測の事態も起こってくる。そんなことを考えると、初めてのセッションは気が気ではなかった。
 結果は大失敗。弾き慣れた曲の伴奏でさえ間違えるし、前以って立てたプランも順番通りにいかない始末。勿論、大切な笑顔も引きつるし、クライエントの表情など見る余裕もない。“入所者の方々に何とお詫びをしよう。もう一緒に歌って下さらないかもしれない“セッションが終わった瞬間そう思った。
 しかし返ってきた反応は、“とっても楽しかったわ、ありがとう”“また伴奏して下さいね”という意外なものであった。これにはさすがに驚きを隠せず、ただ、“一緒に歌って下さいまして、ありがとうございました。またよろしくお願いします。”とお礼を言うばかりだった。

音楽の「流れ」が40分を支える
 何故、そんな温かい言葉をかけて下さったのか? もしかして同情して下さったのではないだろうか? いろいろなことを考えた。言うまでもなく、クライエントの表情や状況を把握できないということは、音楽療法士にとって論外である。
 そんな中、在学中に教わったことを、ただ一つだけ実行できた。音楽を止めないことだ。‘伴奏を間違えても大きな声で歌い、流れだけは止めないようにしょう‘そのことだけを頭の中で思い続けた。
 音楽が続いている間、私のつたない話術や伴奏にもかかわらず、クライエントからの手拍子や歌声が耳に入ってくる。それだけを頼りにして約40分間のセッションを行った。私の心配をよそに、セッションは盛り上がっていたようだ。クライエントも私もその40分間は、音楽に夢中になっていたことに後から気がついた。

困難に直面するたびに
 寮に帰り、“今日の反省をしなければ”と思い、ノートを開いてみた。そして一度にいろんなことを想い出した。その中でひと際、私の目を惹いたのが“音楽の力を信じなさい”という冒頭に掲げた言葉だった。
 “音楽のもつ雰囲気”“楽しさや優しさ”それがあの40分間を変えてくれたのではないだろうか。いま思えば、“音楽の力”を実感できた瞬間だったに違いない。音楽の力は、それだけではないはずである。この先、私が困難い直面するたびに、音楽の力を見せてくれると思う。

≪あおぞら音楽社『イキイキ音楽療法のしごと場』(2002/Vol.1)より転載≫

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